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日本の芸術(VI):浮世絵

浮世絵は江戸時代に誕生した日本の芸術です。歴史物語、風景画、民話、肖像画など、その内容は多岐にわたります。浮世絵はすべて木版画ではなく、絵画もあります。葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」は、多くの人が聞いたことがある浮世絵でしょう。

浮世絵って

浮世絵

浮世絵は江戸時代(1603~1867年)に江戸(現在の東京)で始まりました。国内は平和で、急速な経済発展により中流階級は裕福になり、遊興に充てることができました。浮世絵は、こうした享楽的な生活を描いたものです。浮世絵は「浮世の絵」と訳されます。江戸時代の作家、浅井了以は『浮世物語』の中で「浮世」を …人生とは『今を生きる』である。月や太陽、桜や紅葉の美しさに目を向けるべきだ。貧しさに沈むことなく、ひょうたんのように波間に漂っていればいいのだ」と解釈しました。

浮世絵は当初、低俗文化とみなされていましたが、その美学と技法は卓越していました。さらに、浮世絵の多くは古典文学や歴史物語に基づいていたため、その理解には高度な文化的リテラシーが必要でした。2世紀半の間、浮世絵は時代の嗜好や関心を反映しながら発展を続け、歴史と現代の両方を描き出しています。

浮世絵の歴史

浮世絵

江戸時代、徳川幕府は商人を社会階層の最下層に位置付けました。政治的権力が衰えるにつれ、商人は上流階級(武士、農民、職人)と対等に渡り合える芸術・文化へと転向しました。商人、絵師、版元、そして市民の協働こそが、浮世絵に独特の魅力を与えたのです。浮世絵は、版画を描く絵師、版木を切る彫師、そして版木にインクを塗り、紙に押し付ける摺師という3つの要素を必要としました。

初期の浮世絵師は日本画の世界からやって来ました。17世紀には、大和絵が輪郭線を基調とした様式を発展させ、これが浮世絵の原型となりました。初期の浮世絵は単色刷りで、色は手描きでしか加えることができませんでした。木版画の発達により、18世紀半ばにはフルカラー版画が登場しました。浮世絵は色彩に加え、幾何学的な遠近法からも影響を受けました。浮世絵は18世紀後半に量と質の両面で最盛期を迎えました。しかし、改革の失敗と経済不況により、この独特の芸術形態は20世紀初頭に衰退しました。

浮世絵の内容

浮世絵

浮世絵には、春画、花鳥画、美人画、文人画、式絵、名所絵、狩野派、役者絵など、様々な画題があります。中でも、肖像画と風景画は最も人気があります。ここでいくつかご紹介します。

美人画:貴族の女性や庶民の女性など、美しい若い女性を描いた絵画です。美人画は華やかな衣装の描写を重視しました。「着飾る喜び」はもはや貴族の特権ではなく、誰もが共有する欲求でした。色鮮やかな生地と花のモチーフは、それぞれの着物を芸術作品へと昇華させました。

役者絵:別名「役者絵」とも呼ばれる江戸時代、遊郭や芝居小屋は江戸の人々の主な娯楽でした。芸者や歌舞伎は当時の人々の憧れの的でした。役者絵には、芸者や歌舞伎、劇場、舞台風景、観客、建築物など、芝居にまつわるあらゆる題材が描かれています。

花鳥絵:「花鳥絵」と訳されます。画家たちは動植物の姿を丹念に観察し、芸術的に表現しました。花鳥絵は花や鳥に限定されるものではなく、必ずしもすべての絵、あるいは同じ絵の中に花や鳥が描かれているわけではありません。

山水画:風景画。交通の発達や経済の発展に伴い、名勝地を描いた絵画が数多く登場しました。葛飾北斎や掛川広重らが描いた風景画は、浮世絵に新たな彩りを添えました。

春画:性をテーマにした絵画です。江戸時代、商人は裕福ではあったものの社会的地位が低く、多くの人が情欲に溺れがちでした。また、明治時代以前は、様々な性行為が道徳的に堕落しているとは考えられていませんでした。そのため、性的な表現は浮世絵の重要な要素となりました。

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