上京区は京都市の中心部に位置し、東側には鴨川が流れ、京都府庁が所在しています。平安時代後期には、二条通を境に京都御所の北側を「上部(うわぶ)」、南側を「下部(したぶ)」と呼んでいました。そして中世には、それぞれ上京、下京へと発展しました。
市の北部には、応仁の乱の際に山名持豊率いる西軍の本陣が置かれたことから「西陣」と呼ばれる名高い街があります。西陣は高級絹織物である西陣織発祥の地であり、多くの織物業者が集積しています。また、不審庵(表千家)、京田庵(裏千家)、観久庵(武者小路千家)といった名高い茶室も点在しています。上七軒は、活気あふれる花街として知られています。
上京区には、京都御所、北野天満宮、晴明神社、将軍家屋敷跡、一条戻り橋など、数多くの寺院、神社、ランドマークがあります。また、このエリアには、老舗の飲食店、伝統的な和菓子店、食料品店も数多く残っています。
俵屋吉富—— 1755年に発見

京都で2世紀以上続く、豊かな歴史を誇る老舗菓子店「俵屋吉富」。創業は1755年、俵屋宗兵衛がかつて修行していた名店「澤屋播磨御菓子司」を継承したことに遡ります。1924年には石原良次郎が後を継ぎ、「俵屋吉富」と改名しました。皇居御用達菓子として京都の歴史に深く根ざし、京都を代表する老舗和菓子店の一つです。2015年には、本店を舞台にしたNHKドラマ「京人の秘めごと」の制作アドバイザーを務めました。
伝統と職人技を重んじる俵屋吉富は、その美味しさでお客様を魅了し続けています。京菓子の技を極めることに、深いこだわりを持っています。「菓子の真髄を追求する」という理念のもと、俵屋吉富は京都の豊かな食文化の真髄を捉えた、格別な逸品を創り出すことを目指しています。
俵屋吉富は、京都の銘菓の美しさを世界中の人々に伝えたいという情熱を抱き、自らの創作を味わう人々の心に永遠に残る感動を届けたいと願っています。彼らは、銘菓には人と人との調和と繋がりを育む力があると強く信じています。
俵屋吉富は、様々な伝統和菓子を取り揃えています。中でも代表的な銘菓「雲龍」は、俵屋吉富の看板商品です。国産小豆を使用し、丁寧に炊き上げ、じっくりと煮込んだ餡子は、絶妙な食感に仕上がっています。村雨餡の技法を用い、一つ一つ丁寧に手揉みすることで、雲間を舞う龍の雄大な姿を巧みに表現しています。丁寧に煮込まれたしっとりとした餡子は、口の中でなめらかに溶け合い、口いっぱいに広がります。一口食べるごとに、それぞれの風味が調和し、しつこくなく、ほのかな甘みが感じられます。厳選された素材と緻密な焼き加減が、洗練された、そして芳醇な味わいを生み出し、いつまでも記憶に残る味わいをお届けします。
雲龍には「白龍」という別バージョンもあり、その荘厳で優雅な見た目でお客様から高い評価を得ています。従来の雲龍とは異なり、白龍は小豆の代わりに白インゲン豆を使用しています。このバージョンは、濃厚でベルベットのような口当たりと、クリーミーでありながら力強い舌触りが特徴で、舌を喜ばせます。白インゲン豆を使用することで、他にはない独特の味わいが生まれ、この繊細なお菓子に洗練された雰囲気を添えています。
俵屋吉富にとって、菓子は単なる物ではなく、数え切れないほどの物語と経験を宿す器です。こうした特別な瞬間への深い感謝の気持ちを胸に、俵屋吉富は単なる菓子店ではなく、菓子を通して忘れられない体験をお届けし、それを味わうすべての人々の心に残る、かけがえのない思い出を紡ぐことを目指しています。
住所:602-0029 京都市上京区室町頭町285-1
写真出典: https://kyogashi.co.jp/ 俵屋吉富 2023/7/31