Shinise (X): Nanyodo

新世(X):南陽道

大阪府堺市の北西部に位置する堺区は、 12世紀から堀を巡らした城下町として栄えてきました。安土桃山時代には有力商人の集積地として栄え、その後、賑やかな中心地へと発展しました。中心部には官公庁、シティホテル、百貨店などの商業施設が集積し、沿岸部は堺泉北工業地帯へと広がっています。

「堺」という地名は、摂津、河内、和泉の三国の「境」に位置していたことに由来すると考えられています。かつては「さかい」や「さがみ」とも表記されていました。百舌鳥・古市古墳群にある仁徳天皇陵古墳(大仙陵古墳)をはじめ、数多くの寺社や史跡が点在し、堺の北部、西部、中部にまたがっています。中世から続く茶の湯文化の豊かな伝統を今に伝える堺は、和菓子から洋菓子まで、様々なスイーツの産地として知られています。市内には、数々の名店、菓子店、菓子製造所、昆布や醤油などの専門店などが軒を連ね、食の魅力をさらに高めています。

南陽堂—— 1921発見

南陽道

堺駅から徒歩約21分(御陵前バス停から徒歩約2分)にある「南洋堂」は、老舗和菓子店として1921年に創業した老舗和菓子店です。1958年頃から最中専門店として新たな道を歩み始めました。

最中の名は、平安時代の歌人、源氏物語(みなもとのしたごう)が詠んだ和歌に由来しています。もともと最中は千段重ねの菓子を指していましたが、江戸時代後期に、薄い皮で餡を挟んだ現在の形の最中が誕生しました。

店内に入ると、活気あふれる光景にすぐに心を奪われました。辺り一面に漂う甘い香りが、私の味覚を刺激しました。店内を見渡すと、魅惑的なディスプレイで飾られた棚に、種類豊富な最中がずらりと並んでいました。その豊富な品揃えには、本当に感銘を受けました。

なめらかな餡子がたっぷり詰まった定番の「天領もなか」から、もちもちとした餅が絶妙な「きねもちもなか」、そして柚子風味の餡子の爽やかな風味が食欲をそそる「丹生もなか」まで、その種類は無限大。それぞれのバリエーションが、独特で絶妙な味わいを約束してくれる。

私は最も伝統的で人気の最中、「天領最中」を選びました。店員さんは、餡、皮、餅にすべて国産の材料を使用し、最高の品質を保っていると親切に説明してくれました。さらに感銘を受けたのは、添加物や保存料を一切使わず、丁寧に手作りされた餡へのこだわりです。それは、天領最中が揺るぎない品質への追求と、お客様に最高のものを提供したいという強い思いの証でした。

天領もなかは、その名声に恥じない、繊細で芳醇な味わいで、いつまでも記憶に残る美味しさでした。パリッと香ばしい最中皮、もちもちとした食感の餅、そして甘く香ばしい餡子のハーモニーは、まさに格別でした。一口ごとに、この極上の最中を作り上げるために込められた、職人の技と細部へのこだわりが伝わってくる、洗練された贅沢な味わいでした。それは、味覚を喜ばせ、日本の菓子の豊かな伝統を称える体験でした。

住所:大阪府堺市堺区南旅籠町東1丁目2-7

写真出典: https://nanyodo-monaka.com/ 南曜堂 2023/8/2

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