Fujito Manjyu

新世(XV):藤戸饅頭

岡山県西部の風光明媚な地域に位置する倉敷市。かつて3つの都市が合併して形成されたこの魅力的な観光地は、豊かな歴史、絵のように美しい景観、そして食欲をそそる地元料理の数々を誇り、訪れる人を魅了し続けます。

倉敷美観地区は、まるでおとぎ話の世界のような趣き。穏やかな倉敷川沿いに、白壁の街並みが美しく彩りを添えています。細い路地を散策すれば、古き良き時代へとタイムスリップしたかのような気分に浸れます。美しく保存された伝統建築や、個性豊かな逸品を販売する魅力的なお店が軒を連ねています。世界各国の名画を所蔵する大原美術館や、緑豊かな自然に囲まれた建築美、倉敷アイビースクエアも見逃せません。

倉敷の魅力はそれだけではありません。鷲羽山の頂上からは息を呑むようなパノラマビューが広がり、この地域の自然の美しさにきっと魅了されるでしょう。目の前に広がる瀬戸内海の雄大な景色は、静寂の空間を創り出しています。

倉敷は、美味しい料理の数々であなたの味覚を満足させてくれます。風味豊かな麺に香ばしいソースをたっぷりかけたぶっかけうどんや、食欲をそそる太麺の「新うどん」など、本格的な郷土料理をご堪能ください。そして、ジューシーな味わいと地元の風味が融合した、名物「倉敷バーガー」もぜひご賞味ください。

倉敷を散策しながら、甘党のあなたに、この地の文化遺産を反映した美味しいお菓子の数々を味わってみませんか。口の中でとろけるような柔らかな饅頭「藤戸饅頭」や、愛らしい雀の形をした風変わりな「むらすずめ」はいかがでしょうか。これらのお菓子は、味覚を満足させるだけでなく、倉敷に古くから伝わる菓子の伝統に触れる機会でもあります。

藤戸まんじゅう—— 1184年に発見

藤戸饅頭

天外中学校・高等学校南口から徒歩1分、倉敷駅から車で約25分の場所にある「藤戸饅頭」は、源平合戦の時代まで遡る歴史あるお店です。1184年(寿永3年)、源佐々木盛綱は藤戸の峠で行われた決戦で、地元の村人たちの協力を得て勝利を収めました。その戦いの過程で村人たちとの縁を切る必要に迫られ、彼らの霊を弔うために饅頭が作られました。これが、現在の「藤戸饅頭」へと発展しました。

江戸時代より藤戸寺境内の茶店にて販売されてきた藤戸饅頭。万延元年(1860年)に現在の場所に移転し、今もなお繁盛を続けています。本店は創業100年以上の歴史を誇る老舗で、趣があり懐かしい佇まいは訪れる人を温かく迎え、往時の面影を偲ばせます。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のロケ地としても有名です。

店一番の人気商品は「藤戸饅頭」。歴史に根ざしたこの銘菓は、倉敷銘菓として多くのお客様からご愛顧をいただいています。品質へのこだわりから、厳選した素材を使用し、食品添加物や保存料は一切使用せず、素材本来の風味を存分に引き出しています。小麦粉と地元産の麹で毎日搾り出す甘酒粕を贅沢に使用した繊細な皮と、北海道産の厳選小豆を使用したなめらかな餡は、まさに至福のひととき。

藤戸饅頭は本当に美味しいです。ふっくらと柔らかな皮は、軽さと密度の絶妙なバランスを実現するために、熟練の技で蒸されています。一口食べると、中の餡はなめらかでベルベットのような食感で、口の中で優しく溶けていきます。餡は緻密に作られており、絶妙な硬さで繊細な生地と見事に調和しています。一口食べるごとに、完璧な甘さのハーモニーが広がります。ほのかに香る甘酒が餡の濃厚な味わいを優雅に引き立て、調和のとれた忘れられない味わいを生み出します。この食感と風味の組み合わせは、満足感と余韻を残してくれます。

住所:岡山県倉敷市櫛田919-3

写真出典: http://fujito-manjyu.co.jp/ 藤戸まんぢゅう 2023/8/16

ブログに戻る