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新世(十六世):亀甲堂

倉敷市は岡山県に位置し、多くの人々を魅了する観光地となっています。豊かな文化遺産と美しい景観で知られる倉敷市は、歴史、芸術、そして自然美が融合した魅力的な空間を訪問者に提供しています。

倉敷のハイライトの一つは、魅力的な倉敷美観地区です。保存状態の良いこの地区は、古き良き石畳の通り、伝統的な木造町家、静かな運河が織りなす景色を眺めながら、江戸時代へタイムスリップしたかのような気分に浸れます。趣のあるこの地区を散策すると、まるで歴史が息づく生きた博物館に足を踏み入れたかのような気分になります。

倉敷はアートシーンでも有名です。日本初の西洋美術館である大原美術館は、ヨーロッパの名画の素晴らしいコレクションを展示しています。モネ、ゴーギャン、ピカソといった著名な画家の作品を鑑賞できます。美しい日本庭園を含む美術館の静かな環境は、文化体験をさらに豊かにしてくれます。

自然愛好家なら、周囲の美しい景観にきっと魅了されるでしょう。風光明媚な高梁川をゆったりと舟下りしたり、サイクリングコースや田園風景の美しい景色で知られる緑豊かな吉備平野を散策したりしてみませんか。

倉敷は、文化や自然の魅力に加え、素晴らしいグルメも魅力です。「サワラ寿司」や「倉敷揚げ」といった郷土料理、そして地元の果樹園から届く旬のフルーツなど、様々なグルメをお楽しみいただけます。

亀甲堂—— 1877創業

亀甲堂倉敷駅から徒歩約8分、または元町バス停から徒歩1分の場所にある、伝統的な和菓子店「亀甲堂」。店名の「亀甲堂」は、日本最古の栽培果実とされ、和菓子の原点ともいわれる柑橘の香りに敬意を表して名付けられました。

日本で初めて菓子が登場したのは奈良時代です。それ以前は、「菓子」という言葉は果物そのものを指していました。柑橘類は、最も古くから栽培されていた果物の一つという特質を持ち、「菓子の祖先」とされています。先見の明のある林一翁は、菓子と柑橘類とのこの古くからの繋がりと柑橘類の心地よい香りに着想を得て、自身の菓子店を「亀甲堂」と名付けました。

店内には30種類以上の菓子が揃っており、中でも名物の一つが「むらすずめ」。餡をクレープのような生地で包んだ菓子です。薄く丸い皮は新鮮な卵と小麦を使い、丁寧に焼き上げています。餡の中には、厳選された小豆を丁寧に煮込んだもの。口に含むと、これらの要素が絶妙に溶け合い、独特の味わいを生み出します。開発当時、小麦や卵を使った菓子はまだ少なかったと言われており、まさに先駆的な存在でした。

むらすずめは、農作業の際にかぶる編み笠と稲穂の黄金色からインスピレーションを得たものです。江戸時代、倉敷は備中米の集散拠点として米蔵が数多くあったことから「蔵屋敷」と呼ばれていました。

稲作は地元の人々の生活において非常に重要な意味を持っており、盆踊りでは豊年踊りと呼ばれる踊りが披露されました。人々はイグサで編んだ笠をかぶり、豊穣を祈りました。踊り手の動きは、稲穂に群がるスズメ(雀)に似ていると言われていました。

明治時代、村雀の創業者は、地元の銘菓を創りたいと考えました。編み笠の形や色、稲穂の黄金色にインスピレーションを得て、「村雀」を考案しました。以来、「村雀」は倉敷を代表する銘菓として、全国に広く親しまれています。

「一期一会を大切に」という理念のもと、亀甲堂は伝統の真髄を揺るぎなく守り続けています。伝統を重んじながらも、常に新しい味の探求に努め、従業員一人ひとりがお客様のニーズを理解し、厳選された素材を最優先に考えた商品づくりに努めています。こうして亀甲堂は、お客様一人ひとりに忘れられない体験をお届けし、日本の菓子文化の真髄を体現することを目指しています。

住所:岡山県倉敷市阿知2-19-28

写真出典: https://kikkodo.com/ 橘香堂 2023/8/18

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