福井市は福井県の北部に位置し、越前地方(旧越前国)の中心都市です。江戸時代には福井藩の城下町として栄えました。市内には、水仙で有名な越前岬、桜の名所として知られる芦原川、朝倉氏一乗谷跡、福井城跡(現在県庁所在地)、北ノ庄城跡など、数々の名所・史跡があります。
福井市は繊維産業が盛んな都市で、近年は化学産業も発展しています。越前和ろうそくや絵ろうそくといった伝統工芸品も有名です。越前ガニ、越前おろしそば、羽二重餅、ヨーガンといった名産品も福井市の魅力です。さらに、市内には老舗の飲食店や和菓子店、食料品店なども数多くあります。
松岡軒——創業1897年

松岡軒本店は福井駅から徒歩約13分、片町口バス停から徒歩1分という便利な場所にあります。1897年に淡島常氏によって創業され、以来、菓子業界で高い評価を得ています。
慶長年間、福井藩は宝生組紬(ほうしょうぐみつむぎ)という絹織物の産地として栄えました。松岡軒の初代は宝生組紬を専門とする織物店を営んでいました。しかし、後継者の淡島常は、予測のつかない織物業界から一歩踏み出すという勇気ある決断を下しました。
東京で10年間の修行を終えた後、家業を継ぐ和菓子屋として「松岡軒」を開業しました。淡島常は、福井の特産品である絹織物「羽二重」へのオマージュを捧げ、羽二重の滑らかな食感を菓子に再現しようと、たゆまぬ試行錯誤を重ね、ついに羽二重餅が誕生しました。
1905年に誕生した羽二重餅は、瞬く間に全国的に有名になり、今では福井を代表する郷土菓子として広く親しまれています。松岡軒の看板商品である羽二重餅は、もち米粉、砂糖、水飴を主原料としています。主原料のもち米粉は、昼夜の寒暖差が激しい京都府丹波市亀岡産のもち米と、米どころとして知られる福井県産のもち粉をブレンド。丹波産のもち米は、もちもちとした弾力があり、羽二重餅独特の繊細な食感を生み出しています。
羽二重餅のなめらかさは、これらの材料を絶妙なバランスで配合することで実現しています。創業者が独自に開発した配合によって生み出される、羽二重餅の「軽やかで繊細な食感」は、羽二重餅の最大の特徴です。
厳選された素材と職人の熟練の技によって生み出される羽二重餅は、口の中でとろけるだけでなく、米の香りと甘みが五感を刺激します。一口ごとに、口の中で優しく溶ける食感と、ほのかな餅米の甘みを堪能できる、まさに米菓の醍醐味です。
松岡軒では、餅を主役にした美味しいスイーツも提供しています。羽二重最中や羽二重どら焼きなどがその例です。
羽二重最中は、サクサクと焼いた皮の中に、甘さ控えめのなめらかな餡と絹ごしの餅を詰めた、日本の伝統菓子です。一口食べると、サクサクとした餅の香ばしい香りと、なめらかな羽二重餅、そして餡の豊かな風味が見事に調和します。
一方、羽二重どら焼きは、ふわふわのパンケーキのような生地の中に、北海道産小豆を使った餡がたっぷりと詰まっています。さらに、どら焼きの中に羽二重餅を挟んでいるのが特徴。通常のどら焼きとは異なり、羽二重餅の食感が最後まで舌に残り、優しく芳醇な味わいをお楽しみいただけます。
住所:福井県福井市中央3-5-19
写真出典: http://habutae.com/ 松岡軒 2023/8/23